モデルハウス

「現代町家」里山住宅博出展モデル

風景をつくるように家をつくる

外に向かって開く心地よい暮らし

「現代町家」と名付けられたこの家は、神戸市北区上津台の「里山住宅博」に出展したモデルハウスです。土間や大きな軒下など、家の内と外、家と町の風景をつなぐ暮らしの場がたくさん用意されています。
団らんの中心となるベース部分(母屋)を水回りなどが配されたゲヤ部分(下屋)が取り囲むのが基本形。シンプルな構造は間取りの可変性をうみ、ご家族のライフステージにそって自由な暮らし方を可能にします。
その暮らしのかたちを、私たちは京都に代表される町家建築に見出すことができます。今どきの家が無くしてしまった外に向かって開く心地よい暮らしを、現代の最新技術とアイデアで再現する。
それが「現代町家」という古くて新しい暮らしのご提案です。

外観は屋根に包まれた吊りデッキが特徴。雨の日も濡れずに使え、構造的にも自立しているので外壁に負担もありません。また8帖ほどの広さがあるオープンデッキは、室内と一体で使えます。樹木で包まれた、心地よい空間です。
室内はカウンターや階段・窓枠などを含め、杉パネルを使用。節を取り除いているため、直線状の木目が印象的な、美しい内観となっています。

間取り図

里山住宅博参加にあたって

「新モデルハウス」は、新しい取り組みの分岐点にしたいと思い、 設計は「現代町家」を多く手がける趙海光さんにお願いしました。 「現代町家」は、設計システムが明快で、独自の構造・工法があり、今後の当社の展開に盛り込んでいけると考えています。
建て主の夢をかなえることは第一義ですが、20年、30年という長い目で見て、もう一歩踏み込んで、こういう形もありますよ、と選択の幅を広げた暮らし方をご提案したいと考えています。
「里山」プラス「現代町家」はまさにそれにふさわしい形だと考えています。 里山博のモデルハウスを訪れて、「日々の暮らしにおける豊かさとは何か」を考えるきっかけにしていただきたいです。

趙海光(ちょううみひこ) / 建築家

〈現代町家〉の設計システム構築者。1991年に岐阜県金山町の大工職人衆と「台形集成材一座」を結成。以来、国産材を使用した現代型の木造住宅の設計に熱心に打ち込む。 ぷらん・にじゅういち代表。著書に『高山建築学校伝説』(鹿児島出版会)

里山住宅の街並み風景

現代町家は町家スタイルの暮らしを提案します

町家スタイルとは?

家と土間と庭
ナカとソトを自在につなぐ。家と庭が一体になる暮らし。
明快な骨組み(スケルトン)
間取りに左右されない構造フレーム。ベースとゲヤで出来たスケルトン。
町家キット
暮らしを支える道具=町家キット。箱階段・箱窓・雨水貯水池・土間コート等。

現代町家クラブによる憲章

構造/木造在来軸組構造2階建て
「平角スケルトン」構造 120×240の平角材を梁にもつかう
基礎および耐力壁 ベタ基礎・構造免罪(モイス)による耐力壁
最高軒高/6.55メートル モデュール/メートルモデュール
組軸材/樹種は国産スギ(地域産材を使用)一部構造用ツギ集成材
断熱材/屋根/屋根充填断熱(木質繊維240厚)
    外壁/壁充填断熱(木質繊維120厚)
基礎/内断熱(ポリスチレンフォーム50厚)
冷暖房/床下送風エアコンによる冷暖房(薪ストーブ熱循環方式他)
町家キット/吊り窓台・木の窓・木のドア・小さな草屋根・鉄板庇
内部/箱階段・箱窓・スリット間仕切り・箱キッチン・箱納戸

現代町家クラブによる憲章

1.美しい町並み景観をつくる家であること
2.緑(木や草花)溢れる家であること
3.長い必要・好み・寿命に応える家であること
4.地震で倒れない家であること
5.自然エネルギーを活用した家であること
6.特に、風が通る家であること
7.きれいな室内空気の家であること
8.木をたくさん用いる家であること
9.土・紙など自然素材を用いる家であること
10.楽しくお手入れできる家であること
11.その家は、前を通る人の家でもあること

現代町家の工法

太い梁材を、柱にも用います。何故?にお答えします。

1.柱の太さ

木の家に用いられる柱の太さは大体、120×120mm角です。梁材は120×240mm材(平角)を用います。この両者を接合すると、出隅(家の角の柱の部分)は、2方から梁が差され、断面欠損が生じます。右は、柱も平角材を用いた場合の図です。明瞭な違いがあります。

2.

ゲヤが掛る四方から梁がつく場合は、さらにこの図のようなことになります。大地震が起こっていわれたのは断面欠損であり、土台からの柱の引き抜きでした。共に緊結に難がありました。

3.ベースフレーム

むかしの家は、間取りと構造が一つのものでしたが、今の住宅は間取りが複雑化し、構造と架構が一致しない建物が増えています。現代町家のベースフレームは、平角材最長6mの一本ものを四方の柱に用い、この柱に、8本の梁材(同じ6m材)をがっちり組み合わせます。頼もしく、明快この上ない骨格です。

4.耐力壁と芯柱

現代町家のルールの一つに、ベースフレーム壁面全体の3分の1に耐力壁を張り巡らせることがあります。それによって、ベース全体を飛行機や車と同じように「モノコック(応力張殻)化」するのです。部屋のなかの柱は「芯柱」一本だけです。「芯柱」は構造的な役割と共に、内部空間を区切り、生活の機能を高めるためのコントロールポールの役割を負います。

5.ゲヤ空間

ワンボックスのベースだけでなく、凸部にキッチンを配したり小さな和室など、素敵な「ムダ(無用の用)」をつくると、俄然、住まいは愉しくなります。住まいは家族を収容する器ではなく、暮らしの営みの場です。

6.無限定空間

4畳半とか6畳半とか、目的限定された部屋を構成するやり方ではなく、オープンに、そして繋がりを重視する人が増えています。無限定空間というあり方です。このあり方は、日本の民家・町家に共通するあり方でした。

7.登梁

2階の天井は、屋根の形状にしたがった勾配天井です。大らかで、のびのびした空間を構成し、上部を収納に使う人もいます

「現代町家」里山住宅博出展モデル

所在地 神戸市北区上津台
(里山住宅博12号地)
展示期間 里山住宅博としての展示期間を終了しました