設計の指針

ここに書くことは、多くの住宅会社でも当たり前のように行われている基本的なことがらと同時に、私たちが目指す住まいづくりに対する指針を含んでいます。
施主様にご満足いただけることを目標に、基本に立ち返りながら仕事をしています。

1.適切に敷地を読む

敷地調査では、法的な規制や施工条件といった基本情報とともに、その土地固有の特性や、現在の暮らし方を把握して、新しい住まいのご提案につなげます。

(1)自然の中に住まわせてもらう

●配置計画 ゾーニング

設計を行う建築士が敷地の簡易測量を行います。数時間敷地に滞在することで、見えてくる日差しの強さや、道路の交通量も大切な情報です。
道路との位置関係で、駐車場や玄関へのアプローチがある程度決まります。また、方位・日当たりが、間取りを決める上でのポイントです。家相はまさに方位と間取りの相性ですから、理にかなった部分もあるわけです。ただ、それを鵜呑みにしてしまうと、変に窮屈になって住みにくい家になりかねません。
開け放った窓からうまく風が抜けることや、夏の日差しや冬の寒さを緩和しながら落ち着いて過ごせるリビングの配置、家の中から見える風景など、敷地の特性を活かしながら、いかに有効利用できるかが大切だと考えます。

●周囲との調和

昔ながらのおうちが立ち並ぶ中で、あまりに奇抜な外観だと景観を崩してしまいます。建てこんだ場所では、お隣の窓の位置も気になります。母家の横に新築する際は、新しい建物と既存建物の「間」をとらえることも大事です。
篠山周辺では山裾にある敷地も多く、水の通り道や崖くずれといった自然環境も考慮する必要があります。あとで触れる地盤の強さも、まずは目視調査となります。

(2)「暮らし方」にふれる

リフォームの場合も、建築士がご自宅にうかがって実測します。時には職人も同行し、傷み具合や補強の必要性を屋根裏や床下に入って調査し、断熱や耐震性を検討します。
ご自宅にお伺いするのはもう一つ目的があります。それは暮らし方を見せていただくことです。住まわれている方はそれが当たり前だと思われていても、ご自宅を拝見して我々が気付かされる場合があるからです。ご高齢の方の場合には、手摺を利用されているのか、飾り付けが好きなお宅では、飾り棚を多くしてあげようかと考えたり、愛着ある建具や家具などは積極的に再利用します。建て替えの場合も同様に現状の暮らし方にふれることで、新しい提案につなげています。

(3)土地選びについて

計画地が未定の場合は、土地選定の際の法的規制、上下水道、地盤の強さといった、明示される土地価格に反映されにくい部分についてアドバイスさせていただきます。

2.じっくりと対話し、思いを形にする

家づくりで大切なことのひとつが、コミュニケーションです。住まわれる方、職人さん、大市住宅産業の三者の意思伝達が円滑にいくことがよりよい住まいづくりにつながると考えています。

(1)書ききれない思いを引き出す

最初に現在の住環境に対する不満や、新しい住まいへのご要望をシートにまとめていただきます。家づくりに対する思いがご家族の中で異なる場合もありますので、意見をまとめていただく機会にもなります。 実際には、ご記入いただいた内容が、そのまま最終計画になることはありません。書ききれなかった思いが、お話しの中で見えてくることもあります。図面や模型、スケッチや写真などを用いながら、思いが具体的なカタチとして出来上がっていきます。

(2)チーム大市

大市住宅産業には営業専任者はいません。ご要望をお聞きするのは、設計・監督を行う建築士です。お聞きしたご要望を直接、工事に反映します。基本的には担当者が一貫してお引渡しまでお付き合いさせていただきますが、たとえ担当ではなくとも、ひとつの家づくりに対し、社内全員が共に考えます。新築住宅の引渡しを迎えるころには、社員のほとんどの顔を覚えてもらえるでしょう。

(3)ともに山を登る

家づくりの実現のための大きな山のひとつは資金計画です。家づくりの費用は、計画地の条件や建物の仕様によって大きく異なるため、なかなか見えにくいので、ご予算をお聞きした上で、建物に付随する外構工事や諸費用も含めた総費用をご提示します。様々な種類がある住宅ローンについても、銀行マンではない第三者の立場でアドバイスさせていただきます。

3.普通でシンプルな生活の器

私たちがご提案できるのは、決して時代のトップを行く先進的なデザインではありません。どこか懐かしくてほっこりできる。子どもが走り回って、ごろごろ昼寝できる。「なんかしらんけど落ち着くわ」と言ってもらえることが理想です。

(1)日本の伝統的な住まいに学ぶ

●機能性と遊び

篠山城下にある町屋建築。間口に対し奥行が非常に長いため、中庭があります。中庭は、日当りや通風の確保といった機能性とともに、部屋からその景色を眺めるという遊びの要素を持ち合わせています。機能性だけでは無機質な住まいになり、遊びだけでもなんだかしまりのないものになってしまう。両方のバランスを考慮して、無駄をそぎ落としながら、空間を最大限有効利用する。町屋建築にはそんな先人の知恵があるように思います。

●柔軟性のある(フレキシブル)な空間

一昔前まで、日常使う二間続きの和室は、冠婚葬祭といった非日常的な使い方もされる柔軟性のある空間でした。障子がゆるやかに空間を仕切り、その開閉によって空間の質が変化します。昨今は、友人が来た際の団らんの場としてや、子どもの成長といった家族構成の変化に合わせた空間の柔軟性が求められます。限られたスペースでも、さまざまな場面を想定して、建具や可動家具などの仕掛けを組み込むことにより、多目的な場を作り出すこともできるでしょう。
長く住み続ける上では、バリアフリー計画もまた重要です。段差をなくすことだけでなく、階段の勾配、廊下幅、寝室とトイレなどの位置関係といったこともある程度念頭においた計画が大切です。

●ウチとソト

室内と屋外の良質な関係性が、室内をより豊かにし、素敵な屋外空間を作り出します。
借景とは、山や樹木などを庭園の背景として取り込むという伝統的な造園手法です。篠山周辺の自然環境は本当に素晴らしいものです。家の中から花見ができる。美しい茶畑が望める窓は、暮らしにうるおいをもたらします。

(2)やわらかな空間

●あたたかい手触り

シックハウス症候群が社会問題となって、自然素材を使った家づくりが注目されるようになりました。もちろん、自然素材の家だけがシックハウスの唯一の解決法ではありませんが、ひとつの選択肢として確立した理由は、住まい手、作り手双方が、数字や理屈ではなく「それってなんとなくええなあ」と感じているからではないでしょうか。

丹波焼画像

篠山の丹波焼の器の良さは、土と炎が作り出す素朴なあじわいとやさしい手触りです。工業製品とは違ってひとつとして同じものはなく、生活にとけこんだ普段着の器です。無垢の木は日に焼けて徐々に良い光沢が出てきて、古くなるほどあじわいがでてきます。それは、手になじむ丹波焼きの感覚と似ているのかもしれません。

●気配を感じられる空間

DK(ダイニング・キッチン)と個室という間取りが戦後に普及し、今やほとんどの住まいは何LDKで表現されます。しかし、ライフスタイルの多様化に伴い、LDK+個室という考え方にも変化がでてきています。ライフスタイルとは、言い換えると家族同士の距離、そして社会との距離なのかもしれません。住まい手それぞれの距離感をつつむ住まいの答えは、何LDKに限らないということなのでしょう。
ただ、大事なのは、どこかで家族の気配を感じられることでしょう。階段や吹き抜け、多目的に使える書斎やロフト、子どもを見守りながら家事ができるキッチンなど、距離感を調整しながら、気配を感じられる空間が、安心して暮らせることにつながるように思います。

(3)時代に即した性能と技法

当社の天神オープンハウスは長期優良住宅として、CASBEE評価を念頭に計画しました。「CASBEE」とは、エコの観点から住まいの性能を測る評価手法です。もちろんこれだけで住まいの良し悪しのすべてを評価することはできませんが、設計する上でのひとつの物差しとなります。
「長期優良住宅」も住まいの性能を担保する物差しのひとつと言えるでしょう。時代により変化する性能基準に見合う建物をご提供するのも工務店の役目です。積み重ねてきたものを捨てるのではなく、伝統を学ぶと同時に、新しい工法・技術も積極的に取り入れて、うまく調和させることが大事だと考えます。

4.温熱環境について

(1)断熱性能

●気密性の高い断熱方法

大市住宅産業では、次世代省エネルギー基準(省エネルギー対策等級の最高等級4)の断熱性能をベースにしています。ただし、この基準は断熱材の厚みだけを規定していますので、実際の施工では、断熱材の隙間ができることも考えられ、断熱性能が落ちる原因になります。また、隙間を通った水蒸気が壁体内部で結露する可能性も考えられます。そこで、できるだけ隙間ができにくい断熱方法として、外貼り断熱または吹付け断熱をご提案し、ご計画の内容に合せて選定しています。

●開口部からの熱流入

外部から室内への熱移動は、窓などの開口部からの流入がもっとも多いといされていますので、窓サッシはできるだけ断熱・遮熱性能の高いものをおすすめしています。コスト面との兼ね合いもありますが、現在、標準的に採用しているのはアルミと樹脂の複合枠にペアガラス(およびLOW-Eペア)を組み込んだ断熱性の高いサッシです。

(2)省エネルギーな空調器具のご提案

暑い・寒いは個人の主観による部分や敷地環境に左右される部分もありますから、これで大丈夫ということはなかなか言えませんが、空調器具をあらかじめご計画される際は、できるだけ省エネルギー性の高いものをご提案しています。

・料金の安い深夜電力を使った蓄熱式暖房器具
・熱効率の良い薪ストーブ

5.室内空気の質について

(1)素材への配慮

●自然素材を含めた幅広いご提案

新建材を使った住宅で、シックハウス症候群が社会問題となり、室内の空気質がクローズアップされ、自然素材の家づくりというのがその答えのひとつとして注目されるようになりました。昨今の新建材は健康被害が出ないよう有害な揮発性物質の含有量が制限され、24時間換気も義務化されていますので、自然素材が唯一の答えではありませんが、やわらかさやあたたかみといった効果も期待して、直接肌に触れる内装には、部分的あっても自然素材をお勧めしています。ただし、コストや好みといった側面もありますから、ひとつの材料に固執せず、幅広い視野でそれぞれの住まい手に合せた個別の対応をしています。

●肌触りのよさ

合板フローリングではなく、無垢の床材、壁や天井にも無垢板を使い、珪藻土の塗壁や紙クロスなどもご提案しています。床ワックスも、米ぬかなどの自然素材を主原料とするものをお勧めしています。無垢材の調湿作用が抑えられないように、床材に浸透するようなワックスです。珪藻土を含む塗壁も、ある程度の調湿作用を持つといわれています。それらの材料をうまく組合すことで肌触りのよい空間をご提案しています。

(2)効率的な24時間換気

新築住宅では24時間換気が義務化されています。24時間換気システムには、住宅会社によってさまざまな種類があります。大市住宅産業でおすすめしている換気システムの特徴を以下にあげます。
・家全体をひとつの換気扇でまかない、ランニングコストを低減。メンテナンスの容易さにもつながります。
・床下に換気扇を設置し、床下の空気の温度差を利用することで、熱損失を低減します。

6.構造について

(1)地盤と基礎構造

建て替えを含む全ての新築で地盤調査を行い、土地の強度を測定します。丹波・北摂地域は、比較的良質な地盤が多いものの、軟弱なケースもあり、地盤改良工事が必要になることもあります。調査データを考慮しながら、その方法を検討します。適切な基礎・地盤改良工事を行い、足元を固めることで、上部構造を安定させます。当社は、地盤改良が不要な場合でも、建物の不動沈下防止に有効なベタ基礎を採用しています。

(2)構造耐力の確保

●面材と筋交いによる耐力壁

建築基準法や長期優良住宅の構造設計に基づき、風力と地震への抵抗力、長期の加重について計算します。当社では、計算で導かれた耐震性を確保するため、粘りのある面材の耐力壁をバランスよく配置した上で、補助的に筋違を併用します。異なる性質の耐力壁を設けて耐震性を確保しています。

●力の流れを考慮した構造計画

2階に加わる力を1階にスムーズに伝達するために、1.2階の耐力壁の位置をできるだけ揃えることも大切です。また、垂直方向の耐力壁の力をうまく伝えるには、2階床面など水平方向の強さも大切なので、面材や火打ちを用いて床剛性を高めます。構造計画には間取りも関係しますので、あらかじめ無理のない間取りや開口部の配置を心がけます。

●金物による接合

耐力壁となる面材を打ち付けるのは、柱や梁といった軸組です。木造軸組み工法では、特に柱と梁の接合部での断面欠損が大きいと、そこが弱点となってしまいます。そこで、出来るだけ断面欠損が小さくなるような金物を用いて、接合部の強度を保ちます。また、リフォームなどでは既存の基礎と柱を外から緊結するような方法や、制震金物を用いた工法も、場合によってはご提案させていただいています。

7.メンテナンス性と各種保証について

(1)施工中、施工後の検査・点検<

●基礎配筋検査
基礎鉄筋組み終了時に鉄筋間隔や補強筋の施工状況を検査
●中間検査
棟上げ終了後、耐力壁や構造金物の施工状況を検査
●竣工検査
建物完成時に法的に不備なく施工されているかを検査
●社内検査
上の3つの検査は、いずれも第三者機関によるものです。それぞれに先だって、社内の現場監理者による検査を行います。そして、お引渡し前に現場監理者、設計者により最終の仕上がりをチェックします。
●施主検査
施主様立会いの下で、検査を行います。社内検査・施主検査で是正箇所があった場合は、改善・処置をしたうえで、お引渡しとなります。
●定期点検
お引渡し後も定期的な点検を実施しています。建具のくるいや設備機器の不具合、目視できる異常がないかをチェックし、住んでみて気付く不備や追加的な工事がないか施主様にヒアリングを行い対処します。

(2)シロアリ対策

日本では特徴の異なる数種のシロアリが確認されており、これで100%大丈夫という万全な方法は残念ながらありません。薬剤にたよりすぎる方法は、健康的とは言い難いので、被害の可能性をできるだけ抑えるための物理的な防御と同時に、定期的な点検をしていただくことが一番の対策だと考えています。
物理的防御として、基礎をベタ基礎(立ち上がり部分だけでなく、床下一面をコンクリートでおおう方法)とすることが、シロアリの侵入経路を減らすのに効果的です。昔に建てられたお宅の中には、床下が土のままという場合も少なくありません。リフォームされる際には、床下を土間コンクリートにされることをご提案しています。また、床下に設置する土台などの木材は、シロアリ被害が比較的少ないとされる樹種を使用します。そして容易に床下を点検できるように複数の床下点検口を設けています。

(3)長持ちする家を目指して

・長期優良住宅への取組

長期優良住宅とは、省エネルギーや耐震性、メンテナンス性を総合的に考慮した住宅です。当社では長期優良住宅:天神オープンハウスを開設し、その基準を念頭におきながら、家づくりをご提案しています。

・建物の形状

雨漏りの危険性を減らし、後々の修繕などが比較的容易に行えるように、屋根の形状や外観をシンプルにすることを心がけています。また、シンプルな形状は、断熱施工の容易さにもつながり、きっちりとした断熱性能の確保にもつながります。

・メンテナンス性への配慮

見えない部分の点検が容易に行えるよう、床下点検口や天井点検口を設け、床下の給排水の配管方法も修繕の容易さを考慮してヘッダー方式の配管としています。また、外壁の板張りやウッドデッキなど、外回りに木材を使う場合は、手の届きやすいような部分に使用するなど、メンテナンス性を考慮したご提案をしています。

・地盤保証と住宅瑕疵担保責任保険

地盤調査を行い(必要な場合は地盤改良工事と)、適切な基礎工事を行うことで、地盤保証を付保させていただきます。また、建築中は万一の火災などに対処する総合的な保険に加入しています。住宅瑕疵担保責任保険は、現在、新築住宅においてはその加入が法で定められてます。この保険が、ある一定程度の住宅の品質を担保するのと同時に、入居後の万一の不具合に対する備えとなります。

以上については、当社が特別というわけではなく、多くの住宅会社がほぼ同様の保険に加入されており、万一の事態に備えるものです。当社のような地域密着の工務店であっても、大手と同様、安心して工事をお任せいただけるような制度となっています。

・住宅完成保証制度

ご希望によっては、住宅完成保証制度もご利用いただけます。